ロシアとインドに住んでみた

モスクワの僻地駐妻(へきちちゅうづま)生活記

【初級者向け】ロマノフ朝について学ぼう!(3)  壮絶な姉弟喧嘩!

 

プリヴェート! (こんにちは) chocolatです。
僻地駐在妻(へきち ちゅうづま)やってます。
今回はロシアで300年続いた王朝、ロマノフ朝における有名姉弟姉弟げんかついて紹介します。

それにしてもロマノフ朝ってホント一族で仲悪くて不幸な皇帝が多いよねぇ

 

歴代皇帝(ツァーリ)

歴代ツァーリ(皇帝)の一覧はこんな感じ

今回はフォードル・イワンの兄弟を操った皇女ソフィア vs ピョートル大帝の兄弟げんかの話だよ

  1. ミハエル:いやいやツァーリに。天寿。
  2. アレクセイ・ミハエロヴィチ:宗教改革。天寿
  3. フョードル2世:病弱。20歳で病死。姉ソフィアの傀儡
  4. イワン5世:知能障害(馬鹿のイワン)。29歳で病死。姉ソフィアの傀儡
  5. ピョートル1世:大帝。ロシアを3流国から2流国へ。川に飛び込んでその後に病死。息子を殺害
  6. エカテリーナ1世:大帝の後妻。娼婦から皇帝へ。在位2年。暴飲暴食で病死
  7. ピョートル2世:大帝とその前妻の孫。12歳で即位。14歳で病死
  8. アンナ女帝:馬鹿のイワンの娘。一応天寿
  9. イワン6世:生後2か月で即位。1年後に逮捕、23歳まで幽閉されて殺害
  10. エリザベータ:大帝とエカテリーナ1世の娘。天寿
  11. ピョートル3世:エリザベータの甥。在位半年で妻が殺害
  12. エカテリーナ2世:旦那を殺害して即位。領土拡大.天寿
  13. パーヴェル1世:ちぐはぐな政治。クーデターで殺害
  14. アレクサンドル1世:対ナポレオンの祖国戦争に勝利。天寿
  15. ニコライ1世:秘密警察の創設。クリミア戦争敗北。天寿
  16. アレクサンドル2世:農奴解放などの改革。市民により暗殺
  17. アレクサンドル3世:改革にブレーキ。アルコール摂取過多で逝去
  18. ニコライ2世:日露戦争敗北。不運続き。一家全員殺害

まぁ皇帝になんてなるもんじゃないね・・・

きっかけ・相関図

まず、きっかけは前帝で第2代ツァーリのアレクセイ・ミハイロビッチに原因がある
まず前妻マリアとの間に3人の子供(他の子は幼少期に死亡)
そして、後妻との間にピョートル
それぞれ子供がいたのに後継者指名をしないで崩御したことがすべての原因だね

やっぱりいつの世の中も相続問題は争いのたね

まして相続すべき皇帝の椅子は一つだし、異母兄弟なんだから争い必至だね

第1ラウンド ソフィアvsピョートル

アレクセイ・ミハイロビッチ崩御した段階で、ピョートルはまだ3歳
この段階ではソフィア側が優勢で、その弟フョードルが14歳で第3代ツァーリに即位

本来はここでソフィアが女帝になれば時代は変わったんだろうけど、
まだロシアの世論は女帝を受け入れる雰囲気にはなっていなかったんだよねぇ

第2ラウンド ソフィアvsピョートル

病弱なフョードルは案の定、在位たった6年で崩御

再度、後継争いが勃発!
この時ピョートルは9歳

ピョートルの母ナターリアのナルイシキン家の後押しもあり、
一旦まだ9歳ピョートルがツァーリに即位するものの、
その数週間後にソフィアが反乱を起こす!

ピョートル大帝の少年時代の逸話」 シャルル・フォン・ステュイベン画

これがこの絵「ピョートル大帝の少年時代の逸話」に描かれた暗殺未遂事件
銃兵隊をたきつけてピョートル暗殺の一歩手間までいく

ここでソフィアは弟のイワンをツァーリに即位され、ピョートルは第2順位の共同統治者
自分は摂政に収まる

ソフィアは摂政として辣腕をふる清やポーランドと平和条約を締結するなど、
もし女帝が認められる時代なら大成功していただろうね

第3ラウンド ソフィアvsピョートル

ソフィアの治世が7年におよび、クリミア戦争の失敗などやや彼女の人気にも陰りが見えてきた

そのころピョートルは17歳、身の丈2メートルを超すたくましい青年に成長していた

「ピョートル1世」 ゴドフリー・ネラ―画

再びソフィアは彼の存在に危機感を募らせ、再度暗殺を謀る

だが、結果は惨敗・・・

ソフィアはクリミア戦争の失敗で軍の支持を失っており、若いピョートルが支持を集め返り討ちにされてしまう

ピョートルはこの恐ろしい異母姉をノヴォデヴィチ女子修道院に幽閉する

無害な異母兄イワンの名ばかりの共同統治者に格下げ

イワンはそのまま余生を過ごし、のちに29歳でひっそりなくなるんだよ

 

第4ラウンド ソフィアvsピョートル

でも諦めが悪いソフィア
9年後にピョートルが西欧視察に出かけた留守のスキを突きクーデターを起こす

だが、この反乱はあっけなく鎮圧

ピョートルは1000人近くを逮捕し、自ら拷問を実施

でも黒幕がソフィアだという証拠は出てこなかった

怒りが収まらないピョートルは、ソフィアを幽閉した修道院の窓に、
反乱の首謀者の首をつるす

これを鬼の形相で睨みつけるソフィア

「皇女ソフィア」 イリヤ・レーピン画

さしものの烈女もさすがに完敗
皇女の位をはく奪され、剃髪のうえ、修道院の更に奥に監禁され6年後に病死

これにて、熾烈な姉弟げんかは無事終戦となった

 

その後、政敵もいなくなったピョートルは大活躍
スウェーデンとの戦争に勝利したり、ロシアを3流国から2流国に押し上げたよね

 

でも、なぜピョートルはソフィアを殺さなかったのかは大きな謎
彼は拷問も厭わない残虐性も持っていて、実の息子も殺している

3度も自分の命を狙ったソフィアを最後まで殺さなかったのはホント不思議だね

おススメの書籍

「名画で読み解く ロマノフ家 12の物語 (光文社新書)」

私がロシアにきて、ロマノフ朝に興味をもって最初に読んだ本

わかりやすくて初心者向けだよ

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