ロシアとインドに住んでみた

モスクワの僻地駐妻(へきちちゅうづま)生活記

【初級者向け】ロマノフ朝について学ぼう!(1)  不幸な皇帝ランキング!

 

プリヴェート! (こんにちは) chocolatです。
僻地駐在妻(へきち ちゅうづま)やってます。
今回はロシアで300年続いた王朝、ロマノフ朝について紹介します。

ロマノフ家の特徴としては、家族仲がホントに悪い
親が子を、妻が旦那を、弟が姉を幽閉したり殺したりが日常茶飯事

結果として、天寿まで帝位を全うせずに悲惨な結末を迎えた皇帝がたくさんいます。
今回はそんな不幸な皇帝を勝手にランキングします。

歴代皇帝 殺されすぎ

歴代ツァーリ(皇帝)の死因を見てみるとざっとこんな感じ

徳川家の15将軍で殺害された将軍っていないよね。
最後の慶喜ですら天寿全うしているし。

その割にロマノフ家は暗殺だらけ、家族の中で帝位争いで敗れたり、クーデター起こされたり、しまいにニコライ2世に至っては家族全員でそろって銃殺されたり・・・

  1. ミハエル:いやいやツァーリ。天寿。
  2. アレクセイ・ミハエロヴィチ:宗教改革。天寿
  3. フョードル2世:病弱。20歳で病死。姉ソフィアの傀儡
  4. イワン5世:知能障害(馬鹿のイワン)。29歳で病死。姉ソフィアの傀儡
  5. ピョートル1世:大帝。ロシアを3流国から2流国へ。川に飛び込んでその後に病死。息子を殺害
  6. エカテリーナ1世:大帝の後妻。娼婦から皇帝へ。在位2年。暴飲暴食で病死
  7. ピョートル2世:大帝とその前妻の孫。12歳で即位。14歳で病死
  8. アンナ女帝:馬鹿のイワンの娘。一応天寿
  9. イワン6世:生後2か月で即位。1年後に逮捕、23歳まで幽閉され殺害
  10. エリザベータ:大帝とエカテリーナ1世の娘。天寿
  11. ピョートル3世:エリザベータの甥。在位半年で妻が殺害
  12. エカテリーナ2世:旦那を殺害して即位。領土拡大.天寿
  13. パーヴェル1世:ちぐはぐな政治。クーデターで殺害
  14. アレクサンドル1世:対ナポレオンの祖国戦争に勝利。天寿
  15. ニコライ1世:秘密警察の創設。クリミア戦争敗北。天寿
  16. アレクサンドル2世:農奴解放などの改革。市民により暗殺
  17. アレクサンドル3世:改革にブレーキ。アルコール摂取過多で逝去
  18. ニコライ2世:日露戦争敗北。不運続き。一家全員殺害

まぁ皇帝になんてなるもんじゃないね・・・

不幸な皇帝ランキング

家族仲悪く不幸なロマノフ朝の皇帝の中で、King of 不幸を勝手にランキングしたよー

第1位 イワン6世 ザ・不幸帝

栄えある(?) 第1位はイワン6世!

まず、大叔母のアンナはロマノフ朝史上、二人目の女帝で、アンナ女帝には子供がなく、
後継者に困っていたところ、アンナの妹の娘が男の子を生んだんだけど、それがイワン!

イワンにしてみれば、親が皇帝でもないし、祖父母が皇帝でもない
おばあちゃんのお姉ちゃんが皇帝ってだけで皇帝候補にされたんでたまったもんじゃないよね

アンナ女帝には当時、エリザヴェータというライバルがいて、美しく賢くて、宮廷でも人気者。
一方アンナ女帝はロシア貴族を排除していたので宮廷で不人気・・・

アンナ女帝も、自分の死後が心配で、エリザヴェータを呼んで、イワンへの忠誠を誓わせる・・・

その一方で、アンナ女帝は、飲む・買う・打つ?の放蕩三昧で、飲みすぎで体調を崩してあっけなく崩御

彼女の筋書き通り、イワン6世が生後2か月で即位

でも哺乳瓶しゃぶっている皇帝で、しかも後ろ盾となるアンナ女帝はすでに崩御していれば完全無力!

在位1年で、エリザヴェータが満を持してクーデターを起こし、イワン6世はあっさり退位というか、幽閉される。

おぎゃーおぎゃー言って、哺乳瓶飲んでたら豪華で硬い玉座に無理やり座らされて、いつの間にか牢獄にいたってパターンだね。

で、その後23年間幽閉された。。。
幽閉中はやることがなく、もちろん教育もなければ友達もいない
両親とも会えない日々、
その結果、成人したときには完全に狂人になっていたとか

でもって、勝手に旧アンナ派が奪還しようと幽閉場所に突撃したときに、看守によって刺殺された・・・

看守には、万が一にもイワン6世を救出する動きがあった場合には、躊躇なく亡き者にする指示がでていて、即刻殺害

イワン6世にしてみれば、もう勝手に救出しに来ないでよって感じだよね・・・
知らないおじさん達が盛り上がってやって来て、とばっちりで殺されて・・・

とにかく2か月後から23歳までずっと不幸、そして死に方も不幸
少なくてもイワン自身は何も悪くないし、皇帝になったことで何のいい思いもしていない
究極の不幸皇帝No.1

第2位 ニコライ2世 不運皇帝

最後の皇帝として有名なニコライ2世
最期は愛する妻と4人の娘、やっとできた息子と一緒に銃殺されるんで、結末は最悪

でもこの最悪な結末を招いた原因の一部はニコライ2世にもあるんだよねぇ

イワン6世とそれぞれの罪と罰の重さを比較するとこんなイメージ
イワン6世は、罪0:罰100
ニコライ2世は、罪70:罰100

ということで、不幸度では残念ながら(?)、イワン6世には遠く及ばず大差の2位かな

彼の治世は不運もあったけど、その一方で彼自身の優柔さや情勢認識の甘さが招いた判断ミスも多々あった。

失敗は思いつくだけどもざっとこんな感じ

  • 血友病家系のアレクサンドルを娶る
  • 即位祝賀行事で、民衆が将棋倒し&その日にしれっと舞踏会参加
  • 日露戦争敗北
  • 民衆の平和的デモに発砲し多数死亡
  • 怪僧ラスプーチンの政治介入を許す
  • 第1次世界大戦で何故か前線指揮に行き政治が留守

ということで、そもそも皇帝として失格!!!

最期は裁判で裁かれることすらなく、地下室で銃殺ってのはかわいそうだけど、
ロシア人に聞いても「ニコライ2世はダメだよねぇ」的な意見が多いね

第3位 ピョートル3世 ドイツかぶれ皇帝

即位半年で、妻エカテリーナ2世とその取り巻きによるクーデターで捕まり、殺害される。

でも、全くロシアに馴染もうとしなかったピョートルも悪いんで
ピョートル3世は、罪60:罰80
って感じかな

完全な不人気皇帝だね

もともと、父ちゃんはドイツ貴族で、母ちゃんが女帝エリザヴェータの姉
ドイツに住んでいたんだけど、
女帝エリザヴェータが一生独身だったということで
次期皇帝候補としてロシアに迎えられた

でも当時ドイツは1流国、ロシアは2流国
ピョートル3世は完全にロシアを馬鹿にして、ロシア語も覚えない

一方、妻のエカテリーナは両親ともドイツ人の生粋ドイツ人だけど、
ロシア宮廷に馴染もうと、ロシア語はもちろんロシアの宗教や習慣を学ぶ

更に、前帝エリザヴェータがフランス・オーストリアと同盟し、対プロイセン(ドイツ)と戦争し、勝利目前だったんだけど、
ドイツ育ちで、ドイツ好きのピョートルは勝手にドイツを和睦し、しかも賠償金も求めず、占領した土地もドイツに返還してしまった・・・

これにロシア軍部は激おこ!
そりゃそうだよね、自国の兵士が生死をかけて戦争して勝利目前に勝手に和睦されたら誰でも怒るよおね

ということであっけなく近衛兵にクーデターを起こされて、その近衛兵により殺害される

エカテリーナ2世が旦那の殺害を指示したか、あるいは知っていて暗黙の了解をしたかは、不明だけど、
まぁ知らなかったはずはないから、エカチェリーナは旦那殺しの共犯だよね。

第4位 アレクサンドル2世 暗殺されまくり皇帝

ある意味、ロシアの後進性にちゃんと向き合って改革した皇帝だけど、
なぜか誤解され、何度も市民から暗殺されそうになる・・・でもって最期はやっぱり暗殺

アレクサンドル2世は、罪10:罰60
って感じかな

解放皇帝と呼ばれるほど、ロシアの歴史上の課題でもあった農奴を開放する改革に着手した。
でも残念ながら農奴の期待が大きすぎて応えられず・・・

晩年はさすがに、改革への意欲も減退しちゃったんだよねぇ・・・

もう少し前の時代にこのようなアレクサンドル2世のような皇帝が生まれたら、ロシアも一気に工業化なんかが進んだりして、賢帝として歴史に名を刻んだかもね

そして彼は暗殺されまくった皇帝でもあるんだよね
最初は銃殺、その後列車爆発や宮殿爆発、最後は車の爆発で大けがを負って死亡

暗殺未遂は10回以上、そもそも一般市民のテロリストから暗殺されかけた最初の皇帝で、かつ実際に暗殺された唯一の皇帝

そこまで恨みを買うほどひどい皇帝ではないのに・・・

第5位 パーヴェル1世 遅れてきた反抗期皇帝

偉大な女帝、エカチェリーナ2世の実子で、障害もない成人男子の皇帝

でも、生まれたときから女帝エリザヴェータに育てられたことで、
母エカチェリーナ2世とは親近感なく、
しかもその母が、父ピョートル3世をクーデターで殺害したことで、母に反発

でも、エカチェリーナ2世が崩御したあとに、順当に次の皇帝になるんだけど、
母エカチェリーナ2世への反発で、前政権を否定するような政策を乱発

既得権益を死守したい貴族に反発され、しかも母エカチェリーナ2世は崩御して後ろ盾もなく、あっさりクーデターでされた

自業自得だけどあっさりすぎだね

第5位 ピョートル3世 あっさり病死皇帝

ピョートル大帝の長男アレクセイの子供で、ある意味血筋は正当
といってもアレクセイは父・ピョートル大帝に反抗して幽閉・獄中死した、失格皇太子なんでちょっと微妙だけどね

当時は、ピョートル大帝が後継指名しなかったことで、貴族間の権力争いが激しく、幼いピョートル2世は、翻弄された感じかな

紆余曲折の末ある有力貴族の姪と結婚が決まるものの、結婚式の前日に天然痘であっさりご臨終・・・

特に悲劇があったわけではないけど、結婚式前日ってことで可哀想なんでランクイン

第6位・7位 フョードル2世・イワン5世 病弱&馬鹿

いずれも短命で病弱な皇帝。
フォードルは生まれつき病弱イワンは知能障害ではっきり言えば馬鹿
どっちも父帝のアレクセイ・ミハイロビッチからは後継者候補から外された状態だったんだよね。

でも父帝が後継者指名せずに崩御して、権力争いの渦中に。

結局、フォードル・イワンの2人とも皇帝になるものの、到底政治ができる状態ではなく、強烈な姉ソフィアが実権を握り、ただの傀儡皇帝に。

そして、それぞれ病気で早々お亡くなりに・・・

ちゃんと別の男子(例えばピョートル大帝)が後継者指名されていれば、二人は皇帝にもならず、ゆっくり静養しながら人生を終えられて幸せだったんだろうなぁ

第8位 ミハエル いやいや皇帝

ロマノフ朝の創設者!

日本だと、徳川家康や、足利尊氏とか長期政権の創設者は大きな戦に勝って華々しく新しい王朝を築いたんだけど、ロマノフ朝の始まりはかなりシュール

当時はロシアはかなり不安定な動乱の時代で、誰かがツァーリに即位してもすぐに殺され、
しかも外敵としてはボーランドが攻めてくる恐怖が蔓延していて、
誰もツァーリになりたがらない状態だった

ミハエル・ロマノフは、実家が過去の権力闘争で敗れ修道院に隠棲状態だった

当時14歳のミハエルは、皇帝に推挙されても、ホントに嫌で、固辞し続けた。
なんかダチョウ倶楽部みたいに、「どーぞどーぞ」連発みたいだね。

最後は仕方なく応諾して初代皇帝になったんだけど、
幸いその治世は、懸念されたポーランドによる侵攻もなく、なんとか無事やり過ごせただけでなく、シベリヤにも領土を拡大し、
以降、ロマノフ朝が300年継続する基礎を作った

なんとも不思議なスタートだね

おススメの書籍

「名画で読み解く ロマノフ家 12の物語 (光文社新書)」

私がロシアにきて、ロマノフ家に興味をもって最初に読んだ本

わかりやすくて初心者向けだよ

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関連サイト

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