モスクワ建築探訪(3) 鉄道広場付近の建築を見に行こう!
プリヴェート!(こんにちは) chocolatです。
僻地駐在妻(へきち ちゅうざいづま)やってます。
今日は鉄道広場周辺の建築群を見に行きます。
ちょっと難しい説明も入るので、建築に興味がない人は写真だけ見てくださいね。
- コムソモーリスカヤ駅 1952年 A.シューセフ他
- ヤロスラーヴリ駅 F.シェーフテリ 1902-04年
- レニングラード駅 K.トン 1844-51年
- カザン駅 A.スニガーレス 1913-40年
- ホテル・レニングラード 1949-52年 L.ボリャコーフ他
- 鉄道員総合診療所 I.フォミン 1933-36年
- 運輸人民委員部ロシア連邦運輸省 I.フォミン 1930-36年
- 旧鉄道省 1948-53年 A.ドゥーシュキン他
- ロシア連邦農業省 A.シューセフ 1928-33年
- ロシア統計委員会 ル・コルビュジエ 1928-35年
- 関連リンク
モスクワ中心部のちょい北、3つの長距離鉄道ターミナル駅が集まる鉄道広場周辺は
4つの構成主義、2つのスターリン建築、3つの鉄道駅が
徒歩で見られる歴史的建築物の宝庫だよ
全体の行程はこんな感じ、
メトロのコムソモーリスカヤ駅をスタートして、鉄道駅を見て、
その他の建築も見て回る
全部歩いても、2.7Km40分弱
コムソモーリスカヤ駅 1952年 A.シューセフ他
この地下鉄駅はメトロの中で最も素晴らしいと言われている駅
いきなりスタート地点からテンション上がるね
スターリン・アンピール全盛時の作品で
黄色くペイントされた天井に、歴史上の英雄物語のモザイクが施されているんだよね
ヤロスラーヴリ駅 F.シェーフテリ 1902-04年
ロシアのロマンティシズムを表現した作品だね
かなり突っ込んだモザイク装飾しているんだけど、
これ以上やるとバランスが崩れるギリギリで留めている
もうこれ以上やったら建築物としての構成がメインなのか?
外壁を飾るモザイクがメインなのかわからなくなるギリギリ
シェーフテリとしては、このヤロスラーヴリ駅から旅立つ列車の行先である
北ロシアを表現しようと試みたんだよね
レニングラード駅 K.トン 1844-51年
モスクワとサンクト・ペテルブルグを結ぶ最も重要な幹線鉄道の発着駅
目的地の街の名前がサンクトになっても、駅名は旧名のレニングラードのままなんだよね
その割にヤロスラーヴリ駅やカザン駅に比べてシンプルで印象薄いなぁと思ったら、
それもそのはず、最初に作られたターミナル駅だった
最重要路線なので、最初に作って、その後は各ターミナル駅は
このレニングラード以上を目指して作ったんで、
当然後発の方が特徴ある作りになった
ちなみにサンクトのモスクワ駅も全く同じ作り
建築様式は後期のロシア・クラッシックで、
完全なシンメトリー、古代ロシア様式の装飾が特徴かな
カザン駅 A.スニガーレス 1913-40年
カザン、ニージュニー・ノヴゴロドなど、この列車が向かう方面を
イメージした独特なデザイン
尖塔は、カザンのクレムリンにあるシュユンベキ塔をモチーフにしている
モザイクではないんだけど目を引く装飾がされていたり、
いくつもの特徴を凝縮している
駅ならではの機能重視の合理的な設計のうえに、
異なるデザインの尖塔や装飾を上に乗せて飾った独特のデザインだね
ホテル・レニングラード 1949-52年 L.ボリャコーフ他
17階建ての現役ホテル
3つの長距離列車ターミナル駅が集中する鉄道広場前に鎮座している。
セブンシスターズの中では最も低いものの、
地方から鉄道でモスクワに着いた旧ソ連時代の旅行者は
まず、鉄道駅を出た瞬間にこの建築物の存在に驚いたんだろうね
この広場は3つの駅とこのホテルが異なる建築様式を取り入れつつ、
広場の調和を崩していないのが興味深いよね
現在のホテルの経営はヒルトンで、
ホテル名はホテル・ヒルトン・レニングラーツカヤ・モスクワ
とうとうこの建物も西側資本の手に落ちたんだねぇ・・・
鉄道員総合診療所 I.フォミン 1933-36年
構成主義の作品
正方形の平面でありながら、真ん中を中庭にして
道路に対して凹状にまとめ、
2か所の丸みを帯びたファサードを演出した作品
通常角地での設計は凸状になりがちなところを逆転の発想で作ったんだよね
※地図はこの建物の中にある薬局を指しているよ
運輸人民委員部ロシア連邦運輸省 I.フォミン 1930-36年
18世紀の在郷軍人宮殿と隣の建物を利用して作った建築
1-2階部分は既存の建物の側面に柱を付け構造的に補強し、
3-5階部分を新たに増築した。
猛進する機関車をイメージしたらしく、
角に時計塔を配しているあたりはニクイね
ファサード付近で垂直に連続している窓は、
既存建築からそのまま連続させ、
高さを強調しているんだよね
となりがスターリン・アンピールのセブンシスターズというのも皮肉だね
旧鉄道省 1948-53年 A.ドゥーシュキン他
ホテル・レニングラードから徒歩すぐのサドーバヤ通りにある旧鉄道省
建設当時は真ん中の本棟が鉄道省の庁舎で、両脇の付属棟が住居だった。
サドーバヤ通り沿い、しかも鉄道広場から徒歩圏ということで、
立地としてはいいし、
なのに、なぜか全く人気がない存在
日本人駐在員にセブンシスターズクイズをすると、この建物だけ名前が出ない・・・
まず、高さが133mでホテル・レニングラードに次いで低い
しかも色が白いし、奥行がないし、特に装飾がない
特に正面から見るとのっぺりしている
この辺りが不人気の理由かなぁ
やっぱり大きさって大事
そう思うとスターリンが超巨大建築を建てたことも
意味があったんだね
※地図は当該ビルのテナントを指しています。
ロシア連邦農業省 A.シューセフ 1928-33年
これは分かりやすい構成主義だね
均等のとれた非対称で、
構成体を強調する帯状のガラスや
構成主義に許された唯一の装飾ともなど、
構成主義の特徴をほぼ全て取り入れた特徴的な建築物だよ
角のの切り方もとってもおシャレだよね
シリンダー部分がファサードになっていて、サドーバヤ通りでも存在感を発揮してる
私のかなり大好きな構成主義建築
構成主義建築の向こう側にスターリン・アンピールという構図も撮れるよ
ロシア統計委員会 ル・コルビュジエ 1928-35年
構成主義の全盛期に建てられたソ連で唯一のル・コルビュジエによる建築
柱に支えられ中空に浮かぶ3つの長方形の建物、
その中央に位置する円形のファサードを持つ大ホール
という構成
コルビュジエの建築要素であるピロティ、自由な平面、屋上庭園、横長の窓、
独立した会議場、そしてそれらを軽快にまとめる立体感が全て詰まった作品
コルビュジエは構成主義の黄金期にこの作品を手掛け、
次の時代の幻のソヴィエト大宮殿コンペにも参加したものの、
ソ連において建築はスターリン・アンピールの時代になってしまう・・・
次の時代において、この斬新な建築は「奇妙な足を持つエイリアン」とまで酷評され、
その特徴ともいえる、長方形の建物を支える足の部分はコンクリートの壁で覆われてしまった・・・
コルビュジエ様になんてことをするんだか・・・
正面はアカデミカ・サハロフ通りПросп.Академика Сахораваなんで、
間違って、ミャスニーツカヤ通りМясницкая Ул.から見ないようにね。
そっちは裏側だよ
関連リンク
建築探訪
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